ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 421 2019-01-10

レセプト情報等データベースオンサイトリサーチセンター第三者利用:
超高齢社会における慢性硬膜下血腫のリスク関連要因に
関するエビデンスの構築

 

  • レセプト情報等データベース(NDB)オンサイトリサーチセンター
    1. NDBはレセプト入力情報に限られるとはいえ、臨床上も極めて検出力の高いビッグデータである。
    2. 第3者提供のうちオンサイトリサーチセンターでは、探索的な集計を試みながら結果を求めていくことが可能であるが、NDBという巨大なデータベースのためのSQLやPLSQL等のNOSQLがプログラミングできなければ、利用は成立しない。
  • NDBで得られた慢性硬膜下血腫の発生状況
    1. レセプト上の病名の限界をふまえ、慢性硬膜下血腫除去術という診療行為から慢性硬膜下血腫患者を特定した。
    2. 超高齢者での発生が増加し、年齢に伴って入院が長くなっている。また、従来主に男性に発生するといわれてきたが女性の発生も少なくない。
    3. 影響を与える背景として、年齢のほか、抗凝固薬・抗血小板薬、および、ふらつきなどを呈するおそれのある抗てんかん薬、催眠鎮静剤・抗不安剤、精神神経用剤、泌尿器科用薬使用医薬品の使用との関連性が認められた。
    4. 近年の特徴として、術後漢方薬の使用はすべての年齢階級において増加している。
  • 課題
    1. 国民全体の財産であるNDBをわが国の臨床研究のために活用するには、複数同時利用の可能な施設を整備するとともに、研究基盤として、プログラミング支援体制を整備し、使用プログラムは国に帰属させて蓄積し共用に資すべきではないか。
    2. オンサイトリサーチセンターでは集計表の取得では得られない複雑な情報収集とトライアンドエラー作業が可能である。一方、外部の他のデータと合わせた分析のために、解析室へ中間生成物を移動するときには承認を受け、厚労省を介して物理的に郵送移動することとなっており、律速要因となっている。情報保護をしつつ作業を迅速に可能とするよう移動手続きを見直すべきではないか。
    3. 臨床医学において、国際的にビッグデータを動員したReal World Dataの解析研究が増えてきているなか、わが国においても、広く、臨床研究領域でのNDBの活用を促進すべきではないか。

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