ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 462 2021-12-14
ICTを利用した全国地域医療情報
連携ネットワークの概況(2019・2020 年度版)
【地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)】
◆2012年度より続く、全国のICTを利用した地域医療情報連携ネットワークを網羅した調査 有効回答数270箇所
◆有効回答数の推移は横ばい状態、都道府県によって構築度合いに濃淡がある
◆地連NW運営側で実施目的の達成度合いについて満足している地域は45.1%、満足していない地域は21.0%である
◆効果を把握するための指標は、参加施設数、登録患者数が多い
◆新規患者、同意撤回時、参加施設の追加による同意取得方法は、同意書による取得がもっとも多い
◆情報漏えいを防止する対策に重点が置かれ、漏えい時の対策は不十分である
◆障害に備えた共有データのバックアップについては、半数以上の地域で提供ベンダーのサービスを利用している
◆外部からの調査・監査機関は会計検査院、監査内容は補助金の使い方がもっとも多い
◆地域医療介護総合確保基金が原則運用費に使用できないことについて、3割以上の地域で困っている
◆平均運用年数は7.2年、1地連NWあたり平均参加施設数は122.8施設、平均参加患者数14,095人
◆1地連NWあたり平均システム構築費用(累積)は、2億1,281万円(全地域)、2億2,618万円(構築費用がかかった地域のみ)
◆1地連NWあたり平均システム構築費用(年換算)は、3,281万円(全地域)、3,488万円(構築費用がかかった地域のみ)
◆1地連NWあたり平均システム運用費用(年間)は、1,009万円(全地域)、1,117万円(構築費用がかかった地域のみ)
◆運用費用は、狭い範囲(二次医療圏、市区町村単位)より、広い範囲(複数県にまたがる、全県域)の方が高い
◆運用年数、構築費用、運用費用は、運営主体、対象範囲、製品により大きく異なる
◆1参加施設あたり181万8,865円、1患者あたり1万7,911円の構築費用がかかっている
◆将来のシステム更改時の費用負担は、7割以上の地域で未定となっており、未定の割合は増加傾向にある
◆地連NWを導入した最大の効果は、「患者サービスが向上した」である
◆新型コロナウイルス感染症の影響は、対面で医療機関等への訪問や設定等を行うのが困難なため増加しない地域と、非対面での利用が可能なため積極的に利用した地域との二極化が認められた
◆新型コロナウイルス感染症蔓延下において、約7割の地域で地連NWが役立つ利用方法がある
【多職種連携】
◆2014年度より行っている調査、有効回答数169箇所
◆主に在宅医療介護現場の連携ツールとして利用されている
◆使用している機材は、デスクトップパソコンがもっとも多い
◆前回調査と比べ、使用している機材のうちデスクトップパソコンのみ減り、持ち運び可能な機材(ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話)は全て増加した
◆地連NW運営側で参加医療機関等におけるモバイル端末の使用状況を把握している地域は、62.2%である
◆個人所有・管理下にあるモバイル端末(BYOD)の使用が17.6%の地域で行われている
◆「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5.1版)」で、BYODは条件を満たした特別な場合を除いて原則的には認められておらず、現場との齟齬が生じている
◆利用されている機能は、コミュニケーションツール(SNS等)がもっとも多いが、機微情報を扱っているため、使用する際は完全非公開型の医療・介護専用SNSを用いるべきである
◆使用場面は、医師や看護職、介護職と「メッセージをやりとりする」が多い
◆効果を把握するための指標は、登録患者数、参加施設数が多い
◆最大の導入効果は、「利用施設間の人的ネットワークが進んだ」である
◆導入費用、運用費用ともに6割以上の地域で構築費用がかかっていない
◆1多職種連携あたり平均導入費用は、319万5千円(全地域)、983万円(構築費用がかかった地域のみ)
◆1多職種連携あたり平均年間運用費用は、56万7千円(全地域)、149万8千円(構築費用がかかった地域のみ)
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