ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 450 2020-12-07

改正職業安定法施行後の医療・介護分野での有料職業紹介事業者の動向

 

  • 「一部紹介会社の行き過ぎた行為」が、改正職業安定法施行により改善しているかどうかを評価する目的で、厚生労働省が令和元年に実施した職業紹介事業に関するアンケート調査に基づき、①紹介会社経由で採用した就職者の早期離職状況、②改正職業安定法における改正ポイントの遵守状況、③紹介会社の不適切対応事例の有無、を確認し、結果を分析・考察した。
  • 結論として、改正職業安定法施行後も、「一部紹介会社の行き過ぎた行為」の実態に改善は認められず、紹介会社経由で採用した就職者の高い早期離職傾向にも改善は認められない、と評価する。
    すなわち、紹介会社経由で採用した就職者は早期離職率が顕著に高く、転職勧奨禁止、お祝い金制度、手数料返戻制度に関する業務運営要領の規定を遵守しない事例や、その他紹介会社の不適切対応事例が認められた。。
    また、求人事業所、就職者に対する法令周知の不徹底も確認された。
  • 実態改善のための対策として、次の通り提言する。
    (1)短期的な対策
    1. 行政による、求人事業所、求職者・就職者向け法令周知のためのセミナー等の実施。「医療・介護・保育分野適合紹介事業者宣言」の周知。
    2. 紹介会社における法令遵守に関する行政指導の徹底。
    3. 紹介会社による「行き過ぎた」事例報告の専用窓口の、行政への設置。
    4. 紹介会社での、法令遵守を目的とする営業担当者教育の徹底。
    (2)中・長期的な対策
    1. 法令に基づく医療・介護職の人員配置基準の運用の柔軟化。
    2. 紹介した就職者の早期離職時の手数料返戻制度の厳格化。具体的には
      1. 「採用後一定期間内(3~6カ月)離職時の手数料返戻率100%」。
      2. 「1年以内離職者の報告・求人求職者管理簿管理、1年手数料返戻期間の設定」。
    3. 紹介会社営業職給与体系(インセンティブ)の見直し、営業資格制度導入。

本文 (約2,286KB)

添付資料① (約1,5301KB)

添付資料② (約600KB)