ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 158 2008-03-04

病院排水の処理状況に関する調査−病院排水のリスクを考える−

 

◇ 多種多様な種類・タイプの病院排水が放流されている事実を認識することが重要である。その一方で、病院排水に関する法規制はほとんどなく、また、現状で病院排水の処理を促進するような仕組みも存在しない。

◇ 病院排水には、医療安全・環境保健面においてリスクがあるという認識が重要である。基本的に、病院排水には3 つのリスクがある。(1) 病原体の感染・伝播リスク、(2) 水質汚染リスク、(3) 耐性菌生成リスクである。

◇ 病院排水のリスクを考慮し、社会的に合意できるレベルにおいて、予防的な排水処理を行っておくことは、医療安全・環境保健面において、必要な措置である。

◇ アンケート調査によると、病院排水の処理はほとんど実施されておらず、病院排水に対する関心・認識が低いようである。殺菌処理、中和処理、排水の分流、原水槽・排水管の清掃の実施割合はいずれも低い。

◇ 政策提言として3 つの方策を提示した。(1) 法規制の整備を行い、病院排水の処理に関するルールを作成・明確化すること。(2) 病院排水の処理のための初期投資が進むように、補助金を与えること。(3) 病院排水の処理の継続に対して、補助金や税制上の優遇を与えて、経済的インセンティブを与えること(診療報酬上で評価するということもあり得る)。これらは相互補完的な方策であり、これらをワンセットの政策として考えなければならない。

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