リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 60 2014-04-17

ドイツにおける専門医研修・認定制度

 

 日本国内における専門医制度は、各学会による自律的な取り決めによってそれぞれ運用されてきた。しかし近年、専門医制度を運用する学会が乱立して認定基準が統一されていないことなどから、国民にとってわかりにくい仕組みとなっていた。このような状況に加え、診療科や地域による医師の偏在問題と相まって、専門医の資格制度を含む医療提供体制の在り方に関する議論が活発に行われている。また、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会 においても、医師の地域偏在や診療科偏在の視点に配慮することが欠かせないとの指摘がなされている。同検討会においては、ドイツなどの欧州諸国、米国などの専門医制度が検討されるなど、諸外国の制度を参考にしようという動きも出てきた。  本稿の目的は、専門医制度を有する諸外国の中でも、法に基づく保険医の開業規制に加え、国や州政府から独立した立場である州医師会が専門医研修・認定制度を一括して管理・運用し、「事実上の 診療科標榜規制となっているとの見方もある、ドイツの専門医研修・認定制度の実態を把握して、今後の議論の基礎資料の一つとすることである。実態を把握するため、関連文献や資料を調査したうえで、ドイツ連邦医師会(以下、謝辞を除いて本文中では連邦医師会と表記する)への電子メールによるpersonal communicationを実施した。

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