ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 332 2015-01-09

2012 年・2013 年 (2011 年度・2012 年度) 民間医療機関全体(診療所及び病院)における 地球温暖化対策フォローアップと電力供給等に関する研究
−2015年COP21に向け厚生労働省所管の
「環境自主行動計画フォローアップ会議」等の抜本的見直しを−

 

 本研究は、民間の病院と診療所を合わせた民間医療機関全体での地球温暖化対策のフォローアップや、世界及び我が国における地球温暖化対策の動向についての整理・検討及び、「電力料金や都市ガス料金高騰」「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の問題等を併せ検討し、提言等を策定した。
 地球温暖化対策の評価は、エネルギー起源のCO2排出原単位を取り上げ、2008年度を基準年度として、2012年度まで年率1.0%削減を評価目安としたが、診療所は年率4.12%減、病院は1.82%減で、何れも年率1.0%削減の評価目安を上回って減少した。
 CO2排出原単位の減少要因として、診療所・病院とも省エネへの積極的な取組み姿勢がある。診療所は、2012年度の「積極的に取り組んでいる」或いは「ある程度取り組んでいる」割合は74.7%と、2009年度50.4%より大きく増加した。病院も、2012年度の「組織を設置して」或いは「組織を設置しないが取組んでいる」割合は87.7%と、2006年度42.1%より大きく増加した。
 一方、地球温暖化対策の基盤となる業務用の「電力料金や都市ガス料金」については、東日本大震災前の2011年1月を100とした場合、2014年11月現在最も高い電気事業者では175.5にも高騰し、また都市ガス料金も最も高い都市ガス事業者では140.0もの値上がりをし、これら料金の高騰に対する医療面への配慮が求められるものである。
 また、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」についても、調達価格の非常に高い太陽光による再生可能エネルギー発電設備の認定容量が急激に増加し、国民はもとより医療業界においても負担が増大している。このため、これまで日本医師会が主張してきた、発電コストが低廉で、安定的に発電でき、昼夜を問わず継続的に稼働できる「地熱」を「ベースロード電源」として位置づける等、再生可能エネルギー固定価格買取制度の抜本的な見直しと、医療面での費用負担への配慮が求められるものである。
 2015年末のCOP21(パリ)では、厳しいCO2削減目標が予想されることから、厚生労働省所管団体の「環境自主行動計画のフォローアップ会議」は検討内容・方法等の抜本的な見直しを行い、2020年以降の我が国の新たな削減目標や削減方策等も含めた協議を行い、地球温暖化対策推進本部はもとより、経済産業省・資源エネルギー庁や環境省に対し、地球温暖化対策推進の視点からの要請等を行っていくべきである。

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