ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 336 2015-03-24

2014 年度診療報酬改定後の医療費の動向
—2014 年度上半期医療費の対前年同期比-

 

  • 診療報酬改定率(全体)を除いた医療費の対前年同期比は継続して縮小 傾向にあり、2014 年度上半期の伸びは、ここ最近ではもっとも小さい。
  • 高齢化が人口減に打ち消されて、「自然増」はなくなってきている。
  • 2014 年度上半期の医療費は、病院では微増であったが、診療所では低迷 している。診療所の伸びは、薬価マイナス改定があった保険薬局よりも 小さい。ただし、保険薬局は施設数の増加により 1 施設当たり医療費の 伸びはマイナスである。薬局間の競争がし烈になっていることがうかが える。

診療所(入院外)

  • 診療所の 1 施設当たり入院外医療費は、2014 年度上半期に内科で対前年 度比がマイナスになったほか、ここ数年、小児科、皮膚科で伸びていな い。小児科は件数(患者数に相当)減少の影響、皮膚科は 1 日当たり医 療費(単価)の低迷、内科は 1 件当たり日数の低下が影響している。
  • 内科以外にも、外科、整形外科、耳鼻咽喉科で、1 件当たり日数が低下 している。長期処方などにより通院間隔が開いているためではないかと 推察される。
  • 高齢者の割合が多い内科、外科、眼科では、高齢者人口の増加が入院外 件数を押し上げる可能性がある。一方で、長期処方などによる入院外 1 件当たり日数の縮小はこれを打ち消す。

病院

  • 2014 年度上半期の入院外医療費の対前年度比は、500 床以上の病院で高 く、かつ 500 床以上の病院は継続して入院外医療費(外来収入)の割合 が高まっている。
  • 2014 年度上半期の入院 1 日当たり医療費の対前年同期比は、病床規模別 でそれほど大きな差はないが、過去に急性期入院医療に重点的な診療報 酬配分がなされたことから、大病院と中小病院の差は縮小していない。
  • 大病院は、入院外 1 件当たり日数(1 か月当たり在院期間にほぼ相当) がもっとも短く、さらに短縮化が進んでいるが、病床稼働率は高い。中 小病院では入院患者が増えなくなっているが、大病院では増加しており、 患者の集中がうかがえる。

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