ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 341 2015-05-15

地域医療構想の理解のために

前田 由美子

 

  • 2015 年 4 月から、地域医療構想の策定がはじまっている。
  • 病床機能の分化・連携にむけて、当初は国(厚生労働省)から急性期病床群を認定するという提案もあった。しかし、日本医師会・四病院団体協議会の対案により、各医療機関が自主的に病床機能を報告する仕組みが創設された。
  • 日本医師会は、かねて地域の実情を踏まえた医療提供体制の再構築を主張していた。2013 年 4 月に、日本医師会横倉会長は、社会保障制度改革国民会議で、地域ごとに医療ニーズを予測し、これをもとに医師会、行政、関係者が地域医療を議論していくことが重要だと述べ、これが現在の地域医療構想の原型になった。さらに、日本医師会は、地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会でも、「47 都道府県あれば 47 通りある。構想区域ごとにもいろいろな特色がある」と主張し、2015 年 3 月にまとまったガイドラインも「参考」という位置づけになった。
  • 地域医療構想調整会議では、医師会の代表が議長になることが想定されており、地域医師会は大きな役割を担っている。行政は必要なデータを提供し、またガイドラインを画一的に適用するのではなく、地域の実情を踏まえて柔軟に運用し、地域の真摯な協議を後押しすべきである。
  • 地域の関係者、個別の医療機関、住民・患者にとって、望ましい形で地域医療構想の仕組みが活用されるよう、日医総研としても必要なフォローを行ってまいりたい。

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