ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 342 2015-06-12

「国際的潮流」と「我が国の国民皆保険等」を踏まえた
グローバルヘルス戦略の研究
-国連・世界銀行等と協調した
「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」推進と
世界の模範である「我が国の国民皆保険」の持続性確保を-

 

 現在我が国政府においては、ビジネスの視点を中心とした国際的な「健康・医療成長戦略」を展開しているが、このような戦略は、相手国の国民からみれば、ビジネスに偏った一部の階層のための国際協力とも受け取られかねない問題も内包している。
 2015年以後のポストMDGsとして、国連においては「持続可能性」の概念を中心とした、「ポスト2015開発アジェンダ」の決議が2015年秋に予定されている。そして決議の中に「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(注1、UHC)を達成する」ことが、具体的な開発目標として設定されることが想定される。
 一方我が国の国民皆保険を基盤とする医療システムは、医療分野で著名な「ランセット」からも高く評価され、世界銀行からも「UHC」の「世界的模範」であるとして高く評価されている。
 しかし我が国の医療システムは、経済の停滞等を背景としたこれまで蓄積された財政赤字や、少子・高齢化等によりその持続性の確保が大きな課題となっている。
 そこで、「我が国のグローバルヘルス(注2)戦略に向けた提言・課題」を、国民皆保険を中心とした「関係する国内の前提条件整備」も含め行なうことを本研究の目的として行った。

注1:全ての人が貧困に陥る不安を抱えることなく必要な治療を受けられる状態
注2:国を超えた協力・連携が不可欠となっている国境を超えた地球規模の課題としての保健医療をいう

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