ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 346 2015-07-13

日本医師会 病院における必要医師数調査結果

前田 由美子

 

  • 地域別・診療科別必要医師数の実態を把握し、医師確保対策、医師の偏在解消対策を検討するため、全国の病院を対象に「必要医師数調査」を実施した。
  • 本調査は病院から見た医師の必要性を問うたものであり、そもそも病院が過小な地域での医師不足は反映されていない。
  • 2010年の厚生労働省調査と比べて、今回の2015年の調査で必要求人医師数倍率および必要医師数倍率の増加は認められていない。2010年に本格的な医学部定員増が行われた後の医学生はまだ卒業していないので、その効果も併せ、引き続き今後の動向を注視していく必要がある。
  • 診療科別の医師不足は先行調査と同様の傾向が見られる。リハビリテーション科、救急科、産科、心療内科、病理診断科で医師が不足している。
  • 「全科」(総合診療部など)でも医師不足である。
  • 医師の地域偏在も先行調査と同様の傾向が見られる。秋田県、新潟県、山形県などで必要求人医師数倍率が高い。
  • 二次医療圏で一定の回答数があるところでは、福島県いわきで医師不足である。また、北海道、和歌山県では複数の二次医療圏で必要求人医師数倍率が高い。
  • 医師の採用を大学(医局)に依頼している病院が75.1%である。2004年度の新医師臨床研修制度の導入により、いわゆる初期研修医が大学病院以外の病院を選ぶケースが多くなり、大学は医師不足に陥っていたが、現在も、大学(医局)は医師派遣機能を期待されている。
  • 中小民間病院では、医師不足とそうではない医療機関に二分しているようである。
  • 地域包括ケア病棟入院料を算定しているような病院で医師不足となっている。
  • 現在、急性期と慢性期病棟機能があり回復期病棟がないという病院で、リハビリテーション科医師の必要性が高い。
  • 救急医療機関では、二次救急医療機関で医師不足であり、特に救急科の医師が不足している。

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