ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 349 2015-10-05

調剤医療費の動向と大手調剤薬局の経営概況

前田 由美子

 

  • 調剤医療費が増加している。処方せん枚数の増加だけではなく、処方せん 1 枚当たり調剤技術料が伸びているためである。とくに 2010 年度・2012 年度の処方せん 1 枚当たり調剤技術料の伸びは、調剤報酬本体改定率よりも高かった。
  • 調剤技術料の伸びの背景には経営努力もあるが、処方せん 1 枚当たり調剤技術料の伸びには、調剤報酬の見直しも関係している。数量的なもの(備蓄品目数、数量割合等)を評価する調剤報酬は、とくに大手調剤薬局で算定が進んでいるようである。
  • 調剤関連技術料全体(医科・薬局合計)は、院内処方から院外処方に移転した分以上に伸びている。この 10 年間で、院内処方の費用(処方料・調剤料等)は累計で約 1,000 億円減少したに過ぎないが、院外処方の費用(医科処方せん料、薬局調剤技術料等)は約 9,000 億円増加した。
  • 大手調剤薬局の経営は比較的堅調に推移している。単純に比較できるものではないが、2014 年度は調剤報酬改定(医療費ベース)約 200 億円に対して、大手調剤薬局 4 社の内部留保増加額は 120 億円であり、内部留保(利益剰余金の総額)は 2014 年度末には 697 億円である。

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