ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 351 2015-11-17

診療所医師の現状と課題
-かかりつけ医の確保にむけて-

前田 由美子

 

  • 地域包括ケアシステムにおいて、さまざまなサービス、多職種が関係する中で、かかりつけ医のリーダーシップはきわめて重要であるが、主にかかりつけ医の役割を担っている診療所医師数が増加しておらず、今後、かかりつけ医が不足するおそれがある。
  • 診療所医師が専門分化しており、日本医師会・四病院団体協議会が定義している「なんでも相談できる」かかりつけ医の必要性がより高まっている。診療所医師の高齢化、診療科偏在、地域偏在といった問題もある。
  • 診療所の主たる経営原資である再診料は、過去に財源的制約から引き下げられたままであるが、初診料や再診料は医師の「診たて」を評価するものであり、もし、初診、再診というプロセスがなければ、患者の身体的負担および経済的負担が不必要に増加する。
  • そうした中、開業医は、地域医療活動を行い、自院の経営のみならず、地域住民の健康に対しても大きな責務を負っている。
  • かかりつけ医の不足は、在宅医療の推進や地域包括ケアシステムの構築に支障をきたす。地域医療活動や診療所の主たる経営原資である初診料や再診料はなかなか見えにくい。しかし、診療所医師のさまざまな活動に対して正当な評価を行ってこそ、医師が診療所を開設し、さらには、かかりつけ医を目指そうという希望を持てるようになるのではないか。

ダウンロード  (約 589 KB)