ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 356 2015-12-07

平成27年 有床診療所の現状調査

江口 成美

 

平成26年度診療報酬が有床診療所に与えた影響を分析するとともに、有床診が抱える運営課題の解決策を探るため、全国有床診療所連絡協議会会員の協力を得て、アンケート調査を実施した。(本調査は2年おきに実施して今回4回目)
結果

  1. 経常利益率は5.4%(平成25年調査 法人)から4.8%に減少した。入院収入は微増、外来収入は減少し、患者延べ数は入院、外来ともに減少であった。入院に関わるコストは入院収入を上回っていた。
  2. 7割の施設は看護職員の確保を課題として抱えていた。看護職員確保の問題は無床化の原因ともなっている。病床を維持すると回答した施設は前回より減少した。

今後の方向

  1. 空床を減らし、病床の活用を促す方策を進めるべき。その際、有床診療所は病床種別に関わらず比較的柔軟に活用できることから、患者主体の病床の在り方を検討すべき。
  2. 急性期病院からの在宅復帰の対象として有床診療所を含め、患者の身近な入院施設として利用すべき。
  3. 現在進められている地域医療構想と地域包括ケアシステムの中で、有床診療所の独自の機能を示し、高齢社会の中でその機能を活用すべき。

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