ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 378 2017-03-02

かかりつけ医機能と在宅医療についての診療所調査結果
(2016年11月実施)

 

  • 診療所のかかりつけ医機能や在宅医療への取り組みなどの実態を把握するため、診療所の開設者または管理者を対象にアンケート調査を実施した。対象者数 3,416、有効回答数 1,603(有効回答率 46.9%)である。
  • かかりつけ医機能を評価する診療報酬として、前回 2014 年度改定で、地域包括診療料(加算)が創設されたが、在宅患者への 24 時間対応がネックとなって、算定が拡大する見込みがない。また常勤医師 2 人以上も要件の1つであるが、多くの診療所では 1 人医師である。かかりつけ医確保のため、現実的な要件にすべきではないか。
  • 訪問診療を行っている診療所の約半数は在支診以外である。2016 年度改定で在支診に対する評価が行われたが、在支診のみならず在宅医療を行う診療所に対して広く評価が必要ではないか。
  • 24 時間の往診体制、24 時間の連絡体制の負担が大きく、在宅医療が広がる見通しがない。医師自身の体力の問題から、在宅医療から撤退するという診療所もある。在宅医療を担う診療所の負担軽減が必要である。
  • 地域で在宅医療を拡大するためには、受け皿となる入院施設の確保も必須である。
  • 家族の介護力の確保も不可欠とされている。家族の事情や地域の事情にあった診療報酬にとどまらない施策が求められる。
  • 長期処方が増加しているが、長期処方による重症化の問題等も指摘されている。患者の理解も得て、是正していく必要があるのではないか。
  • 薬局とのコミュニケーションがとれている診療所は、かかりつけ患者の医薬品の管理ができている。診療所と薬局との連携が重要である。
  • 一般名処方加算を算定していない理由として「一般名での処方に抵抗がある」、「薬局や薬剤師の対応が不安」という回答は減少してきているが、「後発医薬品を信頼できない」という回答は依然として 4 割ある。また、後発医薬品について品質、効果に問題があると考える医師がそれぞれ 5 割以上である。後発医薬品について、国としてさらに国民、医師に理解を得るよう努める必要があるのではないか。

2017年3月28日 以下の点を修正しました。
図 2.4.5:
(誤)全体 14.9%
(正)全体 14.5%

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