ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 392 2017-11-24

第2回 診療所の在宅医療機能調査

 

調査概要

  • 本調査は、今後の在宅医療の在り方の検討のための基礎資料に資するため、全国の在宅医療を担っている診療所の在宅医療の提供内容と在宅療養患者の状態の把握を目的として行った郵送法によるアンケート調査である。対象は、全国の在宅療養支援診療所、および在宅時医学総合管理料の届出をしている診療所 4,386 施設で、有効回答数(率)1,527 施設(34.8%)を分析対象とした。

結果

  • 対象全体の緊急往診は約 7 割(平均 9.0 件)で、届出を行っていない施設でも、半数以上の施設で実施されていた。看取りは 5 割以上(平均 3.3 件)の施設で行われていた。約 9 割の診療所が在宅医療を「外来の延長」と位置づけていた。
  • 在宅医療に従事する医師数は 1 施設当たり 1.6 人であったが、在宅医療に従事する医師数が 1 人の診療所は 72.4%を占めていた。施設によって在宅療養患者数にばらつきがあり、5 件以下の施設が 3 割であったが、100 件以上の施設も 1 割弱であった。施設に入居している在宅療養患者が全くいない施設は 43.1%で最も高かったが、在宅療養患者の 8 割以上が施設入居者という施設も約 16%あり、件数の分布をみても施設間のばらつきがみられている。
  • 在宅療養患者の状況については、後期高齢者が約 8 割を占め、90 歳以上も約 3 割であった。約半数は要介護 3 以上で、医学的管理・処置が行われている患者は 1 割未満であった。
  • 0~19 歳までのいずれかの年齢の小児への在宅医療提供が行われた施設は 52 施設(4.1%)であった。「就学前(0~5 歳)」「学齢期(6~14 歳)」「成人への移行期(15~19 歳)」の 3 区分の実施率をみると、いずれも約 2%であった。また、小児の在宅療養患者は、患者全体の 1.3%であった。

まとめ

  • 在宅医療を行っている診療所の対応力を、1 施設当たりの医師数の推移、1 施設当たりの在宅患者数の推移、医師 1 人当たりの在宅患者数の推移、1 施設当たりの半年間の在宅看取り件数の推移で把握したところ、どの指標についても増加していた。通常対応できている在宅患者の状態や医学的管理の状況を、特に条件づけることなく対応可能と回答した施設数の割合の推移についても、いずれの状況においても 2010 年と比べて増加し、前回調査(2010 年)と比べて、現在の診療所における在宅医療の対応力が明確に向上していることが確認された。
  • 0~20 歳未満の小児に対応できるか否かの回答については、できないと回答する施設が多数を占め、特に条件づけなく対応可能だと回答とした施設は、7.0%と限られていた。今後の小児の在宅医療については、専門性をもって対応できる診療所や病院に一定の集約化をしつつ、小児専門病院や訪問看護などと連携した小児在宅医療としての地域の仕組みづくりが必要であろう。医師会の研修や小児専門病院等の情報発信などを通じて、小児在宅医療に関するサービス提供上必要な知識を、医療・介護関係者に普及させていく等、具体的な対策を講じていく必要があるだろう。

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