ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 397 2017-12-14

調剤報酬の現状について

 

  • 中央社会保険医療協議会「医療経済実態調査」、厚生労働省「調剤医療費の動向」をもとに、2016年度調剤報酬改定後の調剤医療費の動向を示した。
  • 診療報酬本体改定率は、医科、歯科、調剤の技術料の伸びが等しくなるよう「医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3」になっている。医科には医療の高度化がある一方、調剤は自動化による効率化も進んでいるが、事業環境の変化に関係なく、この配分は長期的に固定されている。
  • 2016年度調剤報酬改定は、大手門前薬局に厳しい改定であったが、大手門前薬局、チェーン薬局は高い利益率を維持し、上場大手では配当をし、内部留保を積み増している。大手門前は小規模面薬局に比べて収益性が上がりやすいビジネスモデルである。経営努力もあるが、その財源は税金、保険料、患者一部負担金である。国民、被保険者、患者の納得を超える利益を得ている薬局に対しては、大胆な適正化が必要であろう。
  • かかりつけ薬剤師指導料については、「患者のための薬局ビジョン」にあるように、地域包括ケアシステムの一翼を担っているかどうかを、明確に求めてはどうかと考える。そのことによって、地域に根づいて、まさにかかりつけ機能を担っている薬剤師や、医療機関が少ない地域で集中率が高くなりがちな薬局も評価できるのではないだろうか。
  • 医科との関係では、同じ技術(調剤料)、同じ体制(調剤基本料)であっても、薬局は医科院内に比べて診療(調剤)報酬が高い。患者にとっては不合理であり、是正すべきである。
  • 病院で薬剤業務が拡充し、多くの薬剤師が雇用されているが、医科診療報酬では、薬剤業務を評価する報酬が薄いように思われる。医科、薬局の縦割ではなく、将来的に薬剤業務を横断的にみた評価体系のあり方を検討することも提言したい。

表 1.1.2 2014年の歯科配分を修正し、注釈を追加しました。

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