ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 398 2018-02-06

自宅療養の継続が困難になった事例の分析
第2回診療所の在宅医療機能調査の結果から

 

調査概要

  • 本調査は、今後の在宅医療の在り方についての検討のための基礎資料に資するため、全国の在宅医療を担っている診療所の在宅医療の提供内容と在宅療養患者の状態の把握を行った「第 2 回診療所の在宅医療機能調査」の補足調査として実施し、在宅療養が困難になった患者と患者の介護環境の事例を収集し、その実態について把握したものである。対象は、自宅での在宅療養が困難になった全国の事例 1,056 件である。

結果

  • 独居・同居別に対象事例の概況を比較したところ、同居では「要介護 3 以上」は 7割以上、「認知症日常生活自立度III以上」は約半数を占め、独居と比べて、日常生活を送ることが困難となる状況になるまで、在宅療養が続いたことがうかがわれた。独居では「利用している介護サービス」は訪問介護が約半数と、訪問系のサービスを受ける割合が高かった。同居は介護者のレスパイトの側面もある「短期入所」の利用が独居と比べて高かった。
  • 在宅療養が困難となった理由は、「疾患」「状態」「日常生活」「介護者」「その他」の5 つに分類された。「疾患」は認知症が独居・同居とも最も高かった。「状態」は、独居では「入院」に次いで「転倒」が挙げられ、介護者がいない状況で、転倒により日常生活が困難となった背景がうかがわれた。「日常生活」では食事の摂取困難や食事の世話をする人の不在など、「食」にまつわる理由が挙げられていた。「介護者」については、独居では介護者の不在、同居では、家族自身の病気や入院により、介護の困難な状況が生じたといった家族側の事情が大きく影響していることもわかった。

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