ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 405 2018-03-06

医療費の地域差について (都道府県別データ)

前田 由美子

 

  • 厚生労働省の「医療費の地域差分析」をベースに、医療費の地域差とそれに影響していると思われる項目との相関等を示した。都道府県は47 に過ぎず、「見せかけ(見かけ)の相関」も多いと思われることに留意していただきたい。
  • 入院医療費は病床数と強い相関がある。しかし、病床数の地域差が生じた理由はさまざまである。地域の実情を踏まえ地域医療構想の下での自主的な収れんを尊重しつつ、在宅医療、介護施設等の整備と一体的な再構築が重要である。
  • 外来は一部を除いて医療費と関係のある決定的な項目は見られない。ただ机上の分析ゆえの限界があり、地元ではさまざまな気付きもあるだろう。それを支える地域差の「見える化」が必要である。
  • 患者の疾病や受療行動だけでなく、診療行為の選択(地域によってどの診療行為を選択するかという個性)も医療費に少なからず影響を与えているのではないかと考えられた。日本医師会の「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き」ほか、診療ガイドラインが有用であろう。
  • 高齢者については、居場所があり、行き場所があり、何かと雑用があると医療費が低いという傾向が見られた。高齢者が自然と行動する町づくり、高齢者に役目がある町づくりに向け、医療者が寄り添うスキーム(医療者が町に出ていくスキーム)をいかに構築するかを今後の検討課題としたい。

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