ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 406 2018-03-30

くるみん・プラチナくるみん認定医療機関への
アンケート調査の分析と考察について

 

  • 全国のくるみん認定医療機関(187)を対象にアンケート調査を実施し、実態と認定取得のための課題等を把握した(回答数 118、回答率 63.1%)。
  • 何れの医療機関も仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでおり、くるみんマークの活用により、組織内外へのプラスの効果がうかがわれた。
  • コスト面では、「育休取得者の代替要員確保」と「事業所内保育所の運営」に多額を費やしていた。半数弱のケースでは育休取得者の代替要員が確保されコスト(看護師で 260 万円/人)が発生していた。また、6 割の医療機関には事業所内保育所があり、運営コストは平均 2,173 万円/年に上った。
  • 上記を賄う公的な仕組である税制上の優遇措置は「次世代育成支援に資する一定の資産」に対する割増償却という枠組みにとどまる。また企業主導型保育事業助成制度で毎年発生する維持・運営コストまでは賄えず、両立支援等助成金・育児休業等支援コースでは、くるみん認定医療機関が対象となる可能性が極めて低い。
  • くるみん認定要件について、特に「男性の育児休業等取得に関する基準」の難易度が高いとの意見が目立った。調査結果でも、育休を取得した男性職員がいた医療機関の割合は、女性職員に比べて大幅に低かった。男性職員数比率の低さや、職種によっては女性職員の割合が大きく男性職員が極端に少ないという業界の特殊事情が大きく関係しているものと思われる。
  • くるみん認定について、4 分の 1 は認定の再取得に消極的な回答であった。有資格者が多く代替要員確保が難しい、収入源が診療報酬という公定価格のためコストを転嫁できないという事情が、再取得の動機づけに影響している可能性がある。
  • 行政として、医療界にとっての制度魅力と認知度の向上を図り、認定要件も医療界の実態に合わせた取扱とすることが求められる。

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