ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 407 2018-04-02

医療関連データの国際比較
-社会保障の給付と負担、医療費、医療提供体制-

前田 由美子

 

  • 2014年の日本の対GDP保健医療支出は10.2%でOECD加盟国中8位であったが、2015年には11.4%で3位になった。2016年には10.9%で6位であった。これは2015年に保健医療支出、2016年にGDPにOECDの新基準を適用して推計した影響もある。OECD推計基準変更への対応は日本以外の国でも当然行われるが、対応年が異なるので、これだけで順位が変動する。そもそも各国の保健医療制度は大きく異なる。国際比較は、諸外国が提出しているデータの定義の違いを踏まえ、きわめて慎重に行う必要がある。
  • 急性期病床について、諸外国はリハビリケア病床を含まないが、日本は回復期リハビリテーション病棟を含む。急性期病床とリハビリケア病床の合計は、日本よりもドイツのほうが多い。長期居住型施設(日本の介護施設に相当)についてもカバー範囲は各国で異なるが、日本は高い水準にはない。
  • 日本の1人当たり保健医療支出は1人当たりGDPにほぼ見合った水準であるが、高齢化率の高さから見るとやや低い。1人当たり医薬品費等は1人当たりGDPに比べて高い。
  • 日本は高齢化の割に医療費や「高齢」(年金、介護)関係の社会支出が高くない。しかし、税・社会保障負担(特に税)が低いことから、高齢関係支出はもとより社会支出全体の水準が低く抑制されており、「家族」(日本の子ども・子育て支援)関係の支出はかなり少ない。

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