ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 502 2026-03-23
匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)を
用いた大腿骨頚部骨折および誤嚥性肺炎の
現状分析
ポイント
◆救急自動車による出動件数、搬送人員は年々増加の一途を辿り、高齢者の搬送人員は漸増傾向にある。
第三次救急医療機関は微増しているものの、救急医療の根幹を支えている第二次救急医療機関は減少傾向にある。
救急医療提供体制の維持が困難になる中、人材育成・確保、地域によって異なる医療提供体制を今後どのようにしていくべきか、
医療機関や地域の特性を生かした役割分担や体制づくりが必要不可欠である。
◆第一次救急、第二次救急、第三次救急医療機関が受け持つ役割は各々異なり、患者の緊急度や重症度に応じた機能分化がされている。
本来は重篤な患者が受診する第三次救急へ軽・中等度の患者が集中する第三次救急医療機関への逼迫は大きな問題となっており、
救急医療提供体制の崩壊を招きかねない。
◆本研究は、DPC レセプトデータから大腿骨頚部骨折および誤嚥性肺炎の疾患を病床規模別、
地域別(地方厚生局・都道府県・都市区分別)に分析し、まとめたものである。
両疾患ともに人口10 万人あたりの患者数は大きな地域差が確認され、西高東低の傾向が認められた。
また、病床規模が大きい方が1 患者あたりの合計点数が高い傾向にあった。
◆大腿骨頚部骨折および誤嚥性肺炎は、第二次救急医療機関で請け負うべき疾患と考えられるが、
第三次救急医療機関の割合が高くなる400 床以上の医療機関で診療されている傾向がある。
病床規模別にみた治療割合では、多少の差はあるが両疾患ともに、ほぼ同様の傾向となっていた。
全ての病院機能までは確認できていないものの、病床規模別にみた限りでは機能分化が十分に進んでいないことが示唆される。
◆NDB データはレセプト情報であるため、第一次救急、第二次救急、第三次救急の区分けができず病床規模別の分析となることなど、
一定の制約を受けるものの各都道府県で策定されている新地域医療構想の策定や医療提供体制、
救急医療提供体制の検討に資する基礎資料として有用であると考えられる。
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