ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 416 2018-11-13

義務教育における健康教育の充実に向けた調査研究 
学校医を対象とした子どもの健康教育等のニーズに関する実態調査(2018)の結果から

 

【学校医調査の概要】

  • 学校医活動の現状や学校における保健・医療ニーズを把握し、生涯にわたる健康のための学校保健分野の充実に向けた研究の一環として、全国の小学校または中学校の学校医 1,328 人を対象に、学校医活動の実態に関するアンケート調査を実施した(有効回答数 n=597。有効回答率 44.7%)。
  • 学校医活動の現状として、2017 年度中の「学校保健計画」、「学校安全計画」、「学校保健委員会」への参画、出席の状況を尋ねたところ、部分的な参画・出席を含めても、学校保健計画の参画率は約 15%、学校安全計画の参画率は約 9%と低く、学校保健委員会の出席率も 4 割台であった。不参画・欠席の理由は、「学校からの求めがなかった」がいずれも最多であった。
  • 2017 年度中の「健康教育の実施」については、「実施あり」は約 2 割で、実施回数は「1 回」の 71.8%が最多であった。
  • 学校医が重要と考える健康教育の内容(複数回答)としては、「スマホやゲーム依存」(60.7%)、「食育」(60.4%)、「睡眠と健康に関する教育(眠育)」(49.1%)など児童・生徒の生活習慣と関係する項目が多数から挙がった。また「疾病教育(がん)」は 6.1%、「疾病教育(がん以外)」は 18.2%であった。

【課題】

  • 学校保健安全法に定められている学校医の職務が十分に果たせていない現状があり、学校側、学校医側双方に働きかけが必要である。
  • 学校医は、現状ではスマホ・ゲーム依存、食育、睡眠教育が重要と捉えており、医師としての関与が求められる。
  • 人生 100 年時代を迎え、生涯にわたる健康のための教育への学校の役割、学校医の役割は極めて大きく、日本医師会は、都道府県・郡市区医師会とともに、教育行政と十分連携を図りながら、学校保健分野の充実に向けて積極的に関与していく必要がある。

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