ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 418 2018-11-15
がん治療と就労の両立のための医師連携 (第 1 報)
- 治療と職業生活の両立支援における現状
- 産業保健としては、事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドラインが策定され、地域両立支援推進チームが設置されるなどの方策が進められている。
- 第3期がん対策推進基本計画に就労支援が挙がっているが、がん診療医に対して 、患者側からは、就労支援に関する知識、技量、情報が十分ではない、職場との情報共有が十分ではない、などの指摘がある。
- 平成 30 年度の診療報酬改定で、治療と仕事の両立支援に関する診療報酬として「療養・就労両立支援指導料」が新設された。
- 労働行政と地方保健行政の連携先進事例
- 地域によっては国直轄の地方労働局と広域自治体がすでに連携している例もある。そういった地域では国の示す方策もいち早く実践されている。
- がん診療連携拠点病院における診断書・意見書の作成状況調査
- 438 病院中 158 施設から施設調査及び診療医調査への回答があり(回収率36.1%)、診療医調査では 1284 人から回答を得た。うち産業医研修修了者は 12%であった。
- 職場へ提出する診断書・意見書に、診療内容に関しては多くの医師が記載していたが、就労に関する項目の記載はいずれも半数に充たなかった。本人と相談して作成している割合は 4 分の 3 にとどまっていた。5%の医師は、勤務している院内のがん相談支援センターを知らないと回答した。
- がん診療医の就労への関心を高めるためには
- 産業医側からのアプローチが重要である。
- 療養・就労両立支援指導料の効果が注目される。
- がん診療連携拠点病院内での主治医等に対する一層の研修啓発が望まれる。
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