ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 424 2019-03-27

民法改正の概要

 

  • 約120年ぶりに民法が大改正となる。本研究の最終目標は、この民法大改正が医療実務の現場に与える影響を研究調査することであるが、それ以前の課題として「民法がどのように改正されるのか噛み砕いて解説してほしい」という強いニーズがあったので、本WPは、取り急ぎその改正部分の情報をまとめたものである。

  • 医療分野と密接に関わる事項は以下のとおり。
  1. 意思能力の無い者の法律行為が無効と明文で規定された。
  2. 職業別の短期消滅時効はすべて廃止された。
  3. 人の生命身体に関する損害賠償の消滅時効は、「知ってから5年、行使可能となってから20年」「知ってから5年、不法行為時から20年」となった。すなわち、債務不履行構成でも、不法行為構成でも時効期間はほぼ同一となった。
  4. 法定利率が5%から3%になり、3年に1度の見直しで、変動することになった。
  5. 委任契約の有償化一本化は見送られたが、従前の無償の委任契約と並列して、有償の委任契約も規定された。
  • その他の分野で重要な事項は以下のとおり。
  1. 錯誤が無効から取消しとなった。
  2. 売買の瑕疵担保責任制度が廃止された。従前の法定責任説ではなく、新民法は、契約責任説に基づくこととなったためである。
  3. 契約解除の要件から債務者の帰責性が削除された。

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