ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 483 2024-07-16
50代医師の将来のキャリアプラン調査
―現在の働き方と65歳以降に想定するキャリア―
◆本稿の目的は、50代医師の将来のキャリアに関する動向を把握することである。日本医師会女性医師支援センターが実施した「50代医師の将来のキャリアプランに関する調査」を分析対象とし、(1)現状の働き方、(2)65歳以降のキャリアプラン、に関する調査結果を基に、50代の医師が高齢期の働き方についてどのような意識とニーズを有しているか分析を行った。
◆現在50代の医師においても働き方(労働時間・宿日直/オンコール待機回数・勤務形態・役職)に男女差があることがあらためて明らかになった。結婚・出産・育児・介護等のライフイベントが生涯にわたって女性医師のキャリアに与える影響は、未だに大きいと推察される。
◆50代の医師においても、長時間労働は常態化していた。特に開業医は、週当たりの総労働時間が「過労死ライン(週60時間)」を超えている割合が、勤務医やその他の働き方の医師よりも高い。かかりつけ医機能を主として担っている開業医の働き方に対して公のサポートが必要と考えらえる。
◆労働時間の長さに反比例して労働時間と収入のバランスに対する満足度は低下していた。医師の勤務環境改善の施策としては、長時間労働の是正だけでなく待遇改善も合わせて検討されることが望まれる。
◆9割が引退年齢を決めておらず、60代以降も就業継続を想定する可能性が高いと考えられる。一方、今後のキャリアプランに不安を抱える医師も少なくないため、中高年医師を対象としたセカンドキャリア支援の充実が不可欠である。
◆大多数が65歳以降に想定するワークスタイルは、現状の働き方(開業医・勤務医・その他)を変えずに、現在の居住地の近くか、移住しても都市圏で就業し、現在よりも短い労働時間で、より休日・休暇を取得しやすい環境で、安定した収入を得ながら、より臨床に注力して働く、といったものであった。
◆調査結果が示唆するのは、65歳以降も最新の医学知識・技術にキャッチアップし、後進を育てつつ、地域医療に貢献したいという医師の姿である。このような現場の意欲をポジティブに活かすキャリア支援のあり方が求められる。
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