ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 430 2019-05-29

調剤報酬と医薬分業の現状 -医科と調剤の関係に注目して-

前田 由美子

 

  • 診療報酬本体は「医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3」で配分されているが、医科では著しく技術の高度化が進んでおり、この配分を固定することは合理的でない。
  • また、医科院内処方の評価はきわめて低い。本稿で病院薬剤師がどのくらい評価されているかを計算したところ、病院薬剤師の評価がまったく不十分であることが明らかになった。
  • 薬局の需給を調査した公的統計は存在しない。医療法では薬局も医療提供施設であるが、「医療施設調査」は病院、診療所だけが対象である。国は、かかりつけ薬剤師や健康サポート薬局を推進しているが、根拠なく検証もできない状態の中で、希望的に政策を描いている。調剤報酬を財源とするビジネスの実態を把握すべきである。
  • これまで政策誘導で、何年もかかって医薬分業が進められてきたが、何年かかっても患者にとってメリットが感じられていない。診療報酬本体の各科配分の固定化を撤廃し、患者が真に必要とする医療に財源を優先すべきである。

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