ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 435 2019-11-19

公的年金の「2019年財政検証」の内容と課題 
―今後の年金の方向性と医療への影響―

 

  • 「公的年金」と「医療」は社会的に相互依存関係にある。「公的年金」の制度運営は「医療」に影響を及ぼすが、逆もまた真である。
  • 「公的年金」は2004年の改正後、現在はその枠組みで運営されている。 現役世代の保険料を固定し、「マクロ経済スライド」を導入する一方、給付水準の下限を設定し、「標準世帯」の65歳新規受給時の「所得代替率」50%確保が公約となっている。
  • 公的年金は、5年に一度、制度の定期健康診断として「財政検証」を行う。
  • 今回は「財政検証」の「前提」は前回までと比べれば控えめになっている。6ケースの中の慎重なケースでみると、将来的に国民への公約である『「所得代替率」50%確保』を守れない恐れがある。
  • 「オプション試算」によれば、厚生年金の適用拡大や保険料拠出期間の延長、受給開始時期の選択幅拡大は給付改善に効果があり、実施が望ましい。
  • 公的年金の健全性の維持や改善には、制度内の対応だけでは不十分である。少子化対策、雇用政策、高齢者医療政策等、総合的な対応が必要である。
  • 「公的年金」の運営が上手く行かなければ、「医療」を含めた社会保障全体の将来が大きく揺らぐ。年金の行方に十分注視していくべきである。

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