ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 475 2023-09-13

ICT を利用した全国地域医療情報連携ネットワークの概況
(2022 年度版)

渡部 愛 

 

地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)について
◆2012 年度より続く全国の地連NW を網羅した調査 有効回答数277 箇所であった
◆隣接する地域との連携を既に行っている地域は49.4%と約半数を占め、今後予定している地域を含め ると74.3%であった
◆地連NW に参加する際に同意書を取得している割合は、93.3%と大半の地域で同意書取得を行ってお り、対象範囲の広い「複数都道府県にまたがる連携」および「全県域での連携」では取得割合が高かった
◆ビデオ通話機能・TV 会議システムを使用している地域は約半数(49.5%)の地域で確認でき、使用する場面は「教育セミナー」がもっとも多かった
◆情報漏えいの防止対策に重点が置かれ、漏えい時の対策を行っている地域は52.1%であった
◆地域医療介護総合確保基金が原則運用費に使用できないことについて、31.3%の地域で困っていると回答し、「全県域での連携」および「二次医療圏での連携」を対象地域とする地域で困っている割合が高かった
◆平均運用年数は8.72 年、1 地連NW あたり平均参加施設数は150.8 施設、平均参加患者数23,764 人であった
◆1 地連NW あたりの平均システム構築費用(累積)は約2 億5,500 万円、平均システム構築費用(年換算)は約3,000 万円であった
◆1 地連NW あたりの2023 年度年間平均運営予算は、約1,340 万円であった
◆将来のシステム更改時の費用負担は、67.7%の地域で未定となっていた

◆最大の導入効果は「医療機関間の人的ネットワークが進んだ」であった

◆次世代医療基盤法の認知度は6割、7割以上の地域で実施予定がなかった
◆診療報酬上算定可能な項目を算定しているかどうかについて、約6割の地連NW運営側で把握をしていなかった
◆地連NWとマイナポータルとの連携について9割を超える地域で検討していなかった
◆全国医療情報プラットフォーム創設の影響を受け、地連NWの継続を心配している地域は37%であった
◆国の進める全国医療情報プラットフォームの創設により、行政からの補助金縮小や打ち切り、参加施設の退会、地連NWの終了などの影響を受けた
◆地連NWと全国医療情報プラットフォームが併存すべきだと考えている地域は3割以上であった
◆オンライン資格確認にメリットを感じている地域は6.6%にとどまった
◆電子処方箋にメリットを感じている地域は9.4%にとどまった
◆他の医療機関との連携を通じて、地域における面としてのかかりつけ医機能を発揮できている地域は41.5%であった
◆1参加施設あたり173万4,961円、1患者あたり1万3,389円の構築費用がかかっていた


多職種連携システムについて
◆2014年度より行っている調査であり、有効回答数171箇所であった
◆利用されている機能は、コミュニケーションツール(SNS等)がもっとも多かった
◆使用する場面は医師や看護職、介護職とのメッセージをやりとりするがケースが多かった
◆効果を把握するための指標は、登録患者数および参加施設数が多く、最大の導入効果は「利用施設間の人的ネットワークが進んだ」であった
◆1多職種連携あたり平均構築費用は、314万円(全地域)、908万3千円(構築費用がかかった地域のみ)となっており、構築費用がかからないケースが多かった
◆年間運営予算の平均額は94万4千円(全地域)、229万6千円(運営予算がある地域のみ)となっており、運営予算がない地域が多かった

 

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