ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 471 2023-04-04

教員の健康管理と学校における産業医の選任・配置に関する考察
-都道府県・郡市区医師会へのアンケート調査結果を中心に-

和田 勝行

 

ポイント

◆学校の教職員に対して求められる労働安全衛生管理は、労働安全衛生法上、教職員数50人以上の学校では産業医を配置して健康管理を行うこととされている一方、教職員数49人以下の学校では産業医の配置義務はない。

◆他方、学校保健安全法では、学校医は教育委員会等の求めに応じ教職員の健康管理に従事することとされている。

◆従って、学校の教職員の健康管理についてはこの2つの法律が適用されることとなり、特に労働安全衛生法上の産業医の配置義務がない教職員数49人以下の学校においては、学校医が学校保健安全法に基づき教員の健康管理を担っているケースが多くあるものと想定される。

◆このため、都道府県医師会及び郡市区医師会に対し、各地域における、各学校の産業医資格を持つ医師の選任状況や、学校医が教職員の健康管理に従事している状況、また報酬体系などについて、悉皆でアンケート調査を行った。

◆調査の結果、学校の規模にかかわらず産業医が対応するケースが一定数見られるものの、学校医が対応しているケースも多く、また、地域によって対応に差があることが判明した。

◆単独で産業医を配置することが難しい小規模の学校では、教育委員会に産業医を配置し、複数の学校を巡回させる仕組みが文部科学省より推奨されており、その周知徹底が求められる。

◆また、産業医・学校医を問わず教職員の健康管理を行った医師に対する報酬は地方交付税措置となっているが、実際の配分は各自治体の裁量によって決まるため、自治体によって大きく異なっている。適切に報酬が配分されるためには、自治体の首長等に働きかけることが有効である。

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