ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 469 2023-02-17
ICTを利用した全国地域医療情報連携ネットワークの概況(2021年度版)
および
地域医療情報連携ネットワーク存続に関する緊急調査(2022年6月実施)
1.地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)について
◆2012年度より続く、全国の地連NWを網羅した調査 有効回答数271箇所であった
◆地連NW運営側で実施目的の達成度について満足している地域は48.1%、満足していない地域は21.4%であった
◆地連NWが医療計画等の行政計画に記載されている地域は53.3%であった
◆新規患者、同意撤回時、参加施設の追加による同意取得方法は、同意書による取得がもっとも多かった
◆厚労省から発出された「地域医療情報連携ネットワークにおける同意取得方法の例」は96.4%の地域で認知されており、そのうち、60.1%の地域でよい取得方法と考えているが、実施している地域は49.7%にとどまっていた
◆外部からの調査については、監査機関は会計検査院、監査内容は補助金の使い方がもっとも多かった
◆地域医療介護総合確保基金が原則運用費に使用できないことについて、32.5%の地域で困っていると回答した。「全県域での連携」および「二次医療圏での連携」を対象地域とする地連NWで困っている割合が高かった
◆平均運用年数は8.29年、1地連NWあたり平均参加施設数は141.5施設、平均参加患者数14,555人であった
◆1地連NWあたりの平均システム構築費用(累積)は約2億7,526万円、平均システム構築費用(年換算)は約3,714万円であった
◆1地連NWあたりの2021年度年間平均運営予算は、約1,848万円であった
◆ビデオ通話機能・TV会議システムの使用は38.8%、使用する場面は「運営母体内の定例会」がもっとも多かった
◆情報漏えいの防止対策に重点が置かれ、漏えい時の対策は不十分であった
◆将来のシステム更改時の費用負担は、67.6%の地域で未定となっていた
◆最大の導入効果は「患者サービスが向上した」であった
◆次世代医療基盤法の理解度は前回調査とほぼ変化がなく、72.2%の地域でデータ提供の実施予定がなかった
◆地連NWとマイナポータルとの連携については、検討していないが92.7%であった
◆HL7 FHIR(医療文書情報のデータ連携を標準化するための国際規格)の認知度は47.1%にとどまった
◆1参加施設あたり143万7,665円、1患者あたり1万8,070円の構築費用がかかっていた
2.新型コロナウイルス感染症の影響について
◆新型コロナウイルス感染症蔓延下において、7割以上の地域で地連NWが役立つ利用方法があった
3.多職種連携について
◆2014年度より行っている調査であり、有効回答数174箇所であった
◆1多職種連携あたり平均導入費用は、339万9千円(全地域)、993万6千円(構築費用がかかった地域のみ)であった
◆地連NW運営側が参加医療機関等におけるモバイル端末の使用状況を把握している地域は、67.2%であった
◆利用されている機能は、コミュニケーションツール(SNS等)がもっとも多かった
◆効果を把握するための指標は、登録患者数および参加施設数が多く、最大の導入効果は、「利用施設間の人的ネットワークが進んだ」ことであった
4.全国的な医療情報連携ネットワーク基盤構築等が地連NWの存続に与える影響について
◆2022年6月に調査を実施し、有効回答数110箇所であった
◆国の進める全国的な医療情報ネットワーク基盤構築、全国医療情報プラットフォーム創設等の影響により、今後の地連NWの継続を心配している地域は56.4%と半数を超えた。行政、自治体から補助金廃止、削減等、影響を早速受けた地域があった
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