ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 463 2022-01-05

TKC医業経営指標に基づく経営動態分析
-2020年4月~2021年3月期決算-

角田 政

 

 病院全体及び診療所全体で医業収益(売上)が減少し、本業の収益力を示す法人の医業利益率(除補助金)は大幅に低下した。

 

 一般病院(法人)では、医業利益率(除補助金)が前年度に比べて大幅に低下し、経常利益率(含補助金)も低下した。一般病院のうち、特に内科系、外科系の病院において医業利益率(除補助金)の落ち込みが大きい。
 精神科病院(法人)では、役員報酬を削減する経営努力がみられたが、医業利益率(除補助金)は低下した。

 

 診療所は、有床診療所においても、無床診療所においても、医業収益(除補助金)が低下した。法人の医業利益率(除補助金)は半分以下に縮小し、経常利益率(含補助金)も大きく低下した。また、ほとんどの診療科で医業利益率(除補助金)、経常利益率(含補助金)が低下した。
 有床診療所(法人)の内科、整形外科は、医業利益率(除補助金)が0.5%にも満たない水面ギリギリのところまで低下した。
 小児科と耳鼻咽喉科の無床診療所では、とりわけ医業収益(除補助金)の落ち込みが激しく、法人の医業利益率(除補助金)、経常利益率(含補助金)ともに赤字に転落した。

 

 病院、診療所ともに法人の役員報酬は前年度より低下した。

 

 以上のように、今後、新型コロナ対応の補助金が縮小された際には経営が困難になることが懸念される状況にあり、適切な財源の手当てが必要である。

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