ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 442 2020-03-31

ICTを利用した全国地域医療情報連携ネットワークの概況 (2018 年度版)

渡部 愛

 

【地域医療情報連携ネットワーク】

  • 2012年度より続く全国のICTを利用した地域医療情報連携ネットワークを網羅した調査 有効回答数270箇所
  • 2012年度調査開始以降、4割以上の地域でなんらかの理由により、中止、終了、他の地域と統合したなど継続されていない
  • 1地域医療情報連携ネットワークあたりの平均参加施設数は129.9施設
  • 1地域医療情報連携ネットワークあたりの平均参加患者数は11,080人
  • 1地域医療情報連携ネットワークあたりの平均運用年数は6.49年
  • 平均システム構築費用(累積)は、2億1,204万2千万円(有料地域のみ)、1億9,179万7千円(無料地域含む)
  • 平均システム構築費用(年換算)は、3,999万9千円(有料地域のみ)、3,618万円(無料地域含む)
  • 平均システム運用費用(年間)は、1,168万5千円(有料地域のみ)、1,104万3千円(無料地域含む)
  • 1参加施設あたり166万9,543円、1患者あたり1万6,873円の構築費用がかかっている
  • 医療計画等の行政計画に記載されている地域が半数を超えた
  • 連携する対象範囲は縮小傾向にある
  • 同意取得方法は、前回調査と較べて同意書による取得が減り、口頭による同意が増えた
  • 共有できる情報項目と実際に参照している情報項目は異なる
  • 安全管理対策の中で「情報漏えいした場合の対策を行っている」がもっとも少ない
  • 将来のシステム更改時の費用負担は、半数以上の地域で未定
  • 地域医療情報連携ネットワークを導入した最大の効果は「患者サービスが向上した」
  • 地域医療介護総合確保基金を使用していない地域の方が運用年数が長い
  • 継続していくためには、行政・自治体、医師会を交えた取り組みが望ましく、協力を得るためには、具体的な効果の提示が求められる
  • 日本医師会から厚生労働省へ地域医療介護総合確保基金の柔軟な運用を要望

【多職種連携】

  • 2014年度より行っている調査、有効回答数166箇所
  • 導入費用、運用費ともに無料の地域が多い
  • システム導入費用が無料の地域は、69.4%(50/72箇所)
  • システム年間運用費用が無料の地域は、68.5% (50/73箇所)
  • 1多職種連携あたり平均導入費用は、1,039万7千円(有料地域のみ)、317万6,861円 (無料地域を含む)
  • 1多職種連携あたり平均年間運用費用は、158万6,652円(有料地域のみ)、49万9,904円(無料地域を含む)
  • 最大の導入効果は、「利用施設間の人的ネットワークが進んだ」
  • 利用されている主な機材は、デスクトップパソコン、タブレット端末、ノートパソコンが多い
  • 利用されている機能はコミュニケーションツール(SNS等)がもっとも多く、利用時には医療・介護専用の完全非公開型を用いる
  • 前回調査と較べて、利用されている機器のうち「デスクトップパソコン」のみ増えたが、持ち運びが可能である機材(タブレット端末、スマートフォン、携帯電話、ノートパソコン)は全て減った
  • 参加している医療機関等がモバイル端末をどのように利用しているかを把握している地域は、77.9%
  • 個人所有・管理下のモバイル端末利用(BYOD)の地域は、22%
  • 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」でBYODは、QAの中で条件を満たせば認められているものの本文では原則認められておらず、現場との齟齬が生じている

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