ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 455 2021-08-11

レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を
用いた救急医療体制の現状分析

 

  • 救急自動車による出動件数、搬送人員は年々増加の一途を辿り 、救急を取り巻く状況は厳しい。
  • 救急医療体制の維持が困難になる中、救急専門医や総合診療能力を持つ医師の育成、人材確保、地域によって異なる救急医療体制をどのようにしていくべきか、地域の特性を生かした体制づくりの基礎検討資料とすることを目的とする。
  • 本研究では、救急医療に関連する診療行為のうち「救急救命入院料」、「精神科救急入院料」、「救急医療管理加算」、「夜間休日救急搬送医学管理料」、「院内トリアージ実施料」、「総合入院体制加算」、「救急搬送診療料」等のNDB申請を行った。
  • 対象期間は2014年~2018年の各10月分、名寄せは行わず患者単位(件数)でカウントし、集計表によるデータ提供を受け分析を行った。
  • 年齢階級別、一般病床数規模別、地域別(二次医療圏・都道府県・地方厚生局)に救急関連の診療行為を分析したところ、65歳以上、200床以上で算定されているケ ースが多く、地域により算定状況は大きく異なった。
  • 救急安心センター事業(#7119等)は、まだ認知度が低いが一定の効果が確認されており、今後の周知拡大と更なる効果を期待する。
  • レセプト情報であるため「救急搬送経路」、「緊急度、重症度、医療・看護必要度」、「患者の受診動向」が不明、NDBは厚生労働省、消防庁データは総務省が管轄しているためデータの紐づけが難しいなど一定の制約はあるが、NDBからの分析は地域の医療提供体制、救急医療体制の状況を把握するうえで有用であると考えられる。

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