ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 132 2006-09-05

「療養病床に関する緊急調査」報告

 

◆福岡県の医療療養病床入院患者のうち、医療区分1は43.4%であった。
◆医療区分1のうち、病状不安定で退院不可能と見られる入院患者は、医療療養 病床で34.5%、介護療養病床で33.6%であった。福岡県では22 千人(医療区 分1〜3の合計)の療養病床入院患者がいると推計されるが、少なくとも5 千 人が医療が必要であるにもかかわらず、退院を迫られる不安がある。すなわち、 医療へのフリーアクセスが阻止される。
◆在宅可能な患者(医療区分1)は医療療養病床で46.0%、介護療養病床で42.3% であった。しかしこのうち、独居、同居者が仕事・病気・高齢、通院できない といったケースが医療療養病床で65.3%、介護療養病床で75.4%であった。な お、独居者の在宅復帰率は33.2%に止まっていた。
◆現状、医療区分1の在宅復帰率は57.0%であった。医療区分2では、35.5%、 医療区分3では5.9%であった。今後、療養病床が整備されないとなると、医療 区分2の入院患者も退院を迫られるおそれがあり、介護難民を生じかねない。
◆また今回の改定は、療養病床のみの有床診療所を赤字に転落させるものであっ た。最近建替えて、借金を返済し終わっていないと推察される医療機関も多く、 療養病床以外の医療提供体制の維持にも影響を与えかねない実態となっている。
◆療養病床再編については、附帯決議にもあるように、スピーディーな調査・検証 と再見直しが必須である。また同時に、転換支援、患者の退院支援の確実な実施 も求めたい。

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