ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 134 2006-09-29

「2006 年度緊急レセプト調査(プレ調査)−4〜6月診療分−」報告

 

◆ 2006 年度診療報酬改定の影響を把握するため、4 道県(北海道、石川県、静岡 県、福岡県)において、緊急的にレセプト調査(4〜6 月)を実施した。
◆ 対象医療機関数は651(診療所531、病院120)、4〜6 月診療分の総件数は197 万件(診療所107 万件、病院90 万件)であった。
◆ 厚生労働省は、制度改正がなければ医療費は毎年3〜4%伸びるという見解を 示している。これによると診療報酬改定の影響を加えても、総点数の前年比は +0.54%〜+1.54%以上になると予測される。ところが、本プレ調査では、入 院総点数で+0.67%、入院外では▲0.81%であった。
◆ 病院の入院総点数のみが前年比微増となったものの、7 月から既に実施されて いる、慢性期入院医療(療養病床)に係る診療報酬の引き下げによる今後の影 響が危惧される。
◆ 診療所の1件当たり点数は、今回の改定によって▲2.7%低下した。その結果 損益分岐点比率は84.8%から86.4%へと1.6 ポイント悪化し、「危険」水域と いわれている90%に近づいている。損益分岐点比率を給与費削減のみで維持 しようとすれば、最低でも▲3%以上の削減をしなければならない。
◆ 医療の安定的供給のため、次期診療報酬改定までの間に、スピーディーに検証 を行い、必要な部分については再改定を求めていくべきである。また、長期的 には財言論に振り回される診療報酬改定の仕組みを根本から見直していく必 要がある。

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