ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 139 2007-02-08

医療提供体制の国際比較

 

  • 2004 年の対GDP 比総医療費支出のランキングで、日本はOECD 加盟30 か国中21 位であった。1996 年のデータでも、29 か国中21 位であり、日本は長年、医療費 後進国から脱することができずにいる。
  • 1人当たりGDP が平均以上の国の中で、1 人当たり総医療費支出が平均以下なの は、日本、イギリス、フィンランドの3 か国だけである。日本は経済力(GDP)に 比べて、総医療費支出が抑制されていることが明らかである。
  • 日本の人口1,000 人当たり医師数は、1 人当たりGDP が平均以上の国の中で最下 位である。一方、人口1,000 人当たり看護職員数は、かろうじて平均以上となっ ている。
  • 日本の高齢化率はいちじるしく上昇しているが、人口1,000 人当たり医師数は 1996 年から2004 年にかけて微増に止まっている。ドイツ、フランスは、もともと 医師数が平均以上であったが、高齢化の進展に伴って、人口当たり医師数もさら に増加した。日本では、高齢化に対応した医師の供給が全く行われていないこと を示している。
  • 看護職員数に関しては、日本は、高齢化に対応した供給が実現している。人口1,000 人当たり看護職員数が平均以上の水準に保たれ、高齢化への対応も整っているの は、准看護師の存在があってこそである。准看護師の供給次第では、たちまち平 均以下に転落する可能性がある。
  • 日本の1 床当たり総医療費支出は、1 人当たりGDP が1 万5,000 ドル以下の国々 と同レベルでしかない。日本では、病床数の多さが医療費高騰(そもそも医療費 も高くないのだが)を招いているように言われているが、病床そのものにかかっ ているコストは極めて低い。

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