ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 145 2007-08-01

国民に近づかない「離れ座敷」特別会計−特別会計改革の検証−

 

◆ 特別会計には2005年度当初予算で37.2兆円、決算で51.0兆円の歳計剰余金がある。剰余金の多くは、会計内で翌年度に繰り越される。また、決算が重視されておらず、剰余金が出ていても、予算は予算でとる、という仕組みである。
◆ 特別会計には2005年度決算で、積立金が210.8兆円ある。このうち年金積立金142.3兆円は国民に対する負債とされているが、このほか財政融資資金特別会計の積立金が26.4兆円あり、12.0兆円が国債償還財源に充当された。この措置は1回限りのものとされているが、継続も検討されるべきである。また、外国為替資金特別会計には積立金15.6兆円のほか、外貨証券が75.5兆円ある。最近は市場介入を行っていないので財源としての必要性は低下している。輸入代金決済のための外貨準備という側面から見ても過大である。
◆ 特別会計の借入金の多くは、減税のため発行された地方債の償還(国はその費用を特例交付金として交付)のためである。国と地方の歳出改革がちぐはぐに感じられる。
◆ 政管健保が含まれていた厚生保険特別会計は、2007年度に国民年金特別会計とともに「年金特別会計」に統合された。年金記録問題で発生する追加費用は、一般会計からまかなわれる予定であるが、お金に色がついているわけではないので厳重な監視が必要である。
◆ 特別会計では、依然として多くの剰余金がプールされており、かえって不透明になった会計もあるなど、まったく国民にわかりやすい形に近づいてはいない。特別会計への切り込みは、なお、厳しく進められるべきである。

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