ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 146 2007-09-05

財投融資先の財務状況−国の融資は無事に返済されるか−

 

◆財投機関(公庫・銀行、独立行政法人等)には、2005年度末で299.6兆円が投融資されている。この財源のうち、財投債(国の借金)が139.4兆円、国の特別会計預託金が86.6兆円である。すなわち財投機関が健全であるかどうかは、国家財政に大きな影響を及ぼす。
◆財投機関(以下、財政融資資金が投入されているところのみ)には、運営費交付金・国庫補助金等が2.6兆円投入されている。しかし、分析対象32機関中10機関では、業務活動によるキャッシュ・フロー(運営費交付金等を含む)自体が赤字であった。
◆運営費交付金等なしに、財政融資ほかの借入金を返済できる可能性があるのは32機関中8機関であった。24機関は、自力では借入金の返済が困難であり、国が支援しなければ、最大111.5兆円の財政融資が貸倒になる危険がある。
◆財投機関は、原則、独自に財投機関債を発行して資金を調達することになっている。しかし2005年度の財投機関債発行額は5.0兆円に止まり、国の借金である財投債(2005年度の発行額は28.2兆円)に依存している。
◆国が借金して融資した上に、補助金を注ぎこむということでは、財投機関の財政規律は働かない。国の財政(借金、特別会計)から見ても、このままでは不安が大きい。財投機関債による資金調達を徹底し、同時に各財投機関の経営について、監視、フォローを強めるべきである。

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