ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 147 2007-09-28

日本の医療・介護保険財政の分析−2004年度決算を中心に−

 

◆保険者等の会計を一定のルールの下に連結し、公的医療保険、介護保険全体の損益計算書、貸借対照表を作成した。

◆保険者等の連結財政を合算した広義の医療・介護費(2004年度)は、41.0兆円であった。保険料の使途としては、次のような点が指摘される。

(1)診療報酬の占める割合が大きいものの、2002年度に診療報酬本体の引き下げがあったため、金額は2001年度以降ほとんど変化していない。

(2)介護事業者等に支払われる費用は、2004年度には15%を超えている。

(3)保険者等の一般管理費は、直近では減少していない。特に、国保、国保連には削減努力が見受けられない。

◆連結貸借対照表によると、2004年度の積立金残高は5.1兆円に上る。うち3.7兆円は、組合健保の法定準備金、別途積立金である。

◆組合健保の平均保険料率は73.95であり、政管健保の82.00に比べて、かなり低い。組合健保や共済組合が、保険料率を政管健保なみに引き上げれば1兆円の増収となる。

◆政管健保の保険料徴収業務は2010年に「日本年金機構」に移管される。社会保険庁はこれに先立ち、政管健保の財政難をあおるかのような収支見通しを発表した。政管健保の会計は現在すでに年金と統合されている。財政難を強調して保険料を上げたうえ、年金に流用されないよう監視したい。

ダウンロード  (約 665 KB)