ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 149 2007-09-28

有床診療所実態調査 -平成19年レセプト調査報告と方向性に関する考察-

 

◆ 有床診療所は身近な病床として住民のニーズに細かく対応できるにもかかわらず、無床化による施設数の減少が続き、過去25年間で施設数が半数以下になっている。平成18年改定後も無床化が加速している。

◆ レセプト調査からは、有床診の入院総点数の対前年度伸び率が2005年度の▲0.1%から2006年度の▲3.1%、外来総点数が2005年度の1.3%から▲2.1%、入院と外来の合計では、2005年度の▲1.0%から2006年度の▲2.3%となり、2006年度診療報酬改定の影響による保険収入の悪化が示された。本調査は定点調査であることが、厚生労働省のメディアスとは異なる。

◆ 入院点数への影響度は、主病床、診療科、病床規模、開設者による違いが大きく、例えば、主病床別で見ると療養病床を主とする施設では総点数▲12.8%と大きなマイナス影響を受けた。診療科別では内科(▲7.1%)、外科(▲5.9%)での影響が大きかった。療養病床ならびに長期入院の入院基本料の引き下げが理由と推測される。

◆ 移動年計を用いて過去の月次推移を見ると、日数の減少傾向が過去1年間に顕著にみられ、保険収入の悪化につながっている。

◆ 有床診療所の入院医療の継続が可能となる報酬の検討が必要であると同時に、有床診療所の病床のあり方についての議論が必要とされている。小規模な病床の区分化や転換を行うのでなく、診療所病床として柔軟な活用形態を検討することで、高齢社会の中の地域住民のニーズに応えることが可能と思われる。

ダウンロード  (約 616 KB)