ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 456 2021-07-20

医療機関の開設主体に対する法規制上の課題
~ 一般財団法人における最低純資産制度への対応 ~

 

平沼髙明法律事務所 弁護士 石原 博行
平沼髙明法律事務所 弁護士 松尾 貴雅
平沼髙明法律事務所 弁護士 大森 未緒

 

  • 医療機関の開設主体には、多様な法人類型があり、各法人制度に特有の法規制が存在する。財団法人は、2期連続で純資産額が300万円を下回ると、自動的に解散となる(最低純資産制度)。
  • 新型コロナウイルス感染症下の喫緊の課題として、医療機関を開設する財団法人における最低純資産制度への対応について検討した。
  • 現行法下で法人が採り得る対応策としては、新たに社団法人を設立し、当該社団法人に既存の財団法人を「吸収合併」させることにより、社団法人格を取得する手法が、より多くのケースで最適と考えられる(寄附の受領や土地の売却により問題が解決できる場合等を除く)。
  • 合併手続等を円滑に進めるためには周到な準備が必要である。事前準備を含め、純資産不足2期目の期末から遡って、5~6か月前には、手続きに着手する必要がある。
  • 上記の対応策の実行には税コストがかかるなど限界もある。財団法人の最低純資産制度については、立法的な解決を図ることが本来望ましい。

ダウンロード  (約 608 KB)