ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 155 2008-01-08

政管健保の国庫負担「肩代わり」を取り巻く問題

 

◆ 国の2008年度予算において、政管健保に対する国庫負担の一部を、健保組合と共済組合が「肩代わり」することとなった。

◆ 「大企業のサラリーマンの保険料が年間5,000円増える」という報道もあったが、健保組合・共済組合あわせて2006年度は3,246億円の黒字、積立金残高は5.6兆円である。保険料アップではなく、利益や積立金で対応する組合が多いのではないかと思われる。

◆ 政管健保は1,000億円の「肩代わり」をしてもらったが、実は政管健保も2006年度は1,117億円の黒字、積立金残高は4,983億円である。また、政管健保の人件費・経費等(社会保険庁で発生)には歳出削減のかけらも見られない。

◆ 社会保険庁の人件費・経費は、そもそも国の一般会計が負担すべきであるが、現在その一部は健康保険や年金保険から支払われている。財務省は、社会保障費の年2,200億円削減を求めたが、社会保険庁の費用を一般会計の負担に戻せば、社会保障費の方に投入されている国庫負担を1,000億円以上削減できる。
◆ 政管健保(社会保険庁)の歳出削減が先決ではあるが、保険者努力の及ばない格差がある以上、財政調整は不可欠である。 被用者保険の保険料率を政管健保なみにそろえるなどした場合、財政効果は1.0兆円である。

◆ 近い将来には、国民健康保険も含めた本格的、恒久的な財政調整も必要になろう。それに向けては、やはり保険者自身(特に社会保険庁)の歳出改革が必要である。

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