ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 161 2008-05-14

国家財政の分析(1)−社会保障費の財源についての考察−

 

  • 基礎年金・医療・介護に係る国庫負担は17.5兆円(2008年度当初予算)である。国庫負担は毎年増加しているが、その主要因は基礎年金給付の国庫負担割合が高まっているためである。
  • 医療に係る国庫負担は、診療報酬の引き下げや、給付範囲の縮小により少ししか増えていない。介護に至っては、過去5年間ほぼ横ばいである。
  • 消費税収(国分)は、予算総則により、基礎年金・後期高齢者医療・介護の国庫負担に充てるとされている。一般(現役世代)の医療給付にも国庫負担があるが、これは消費税収を充てる経費とはされていない。
  • 2008年度予算における医療に係る国庫負担は、消費税収を充てるべき後期高齢者4.4兆円(一般からの支援金に対する国庫負担を含む)、一般2.9兆円、公費負担医療1.2兆円である。公的医療保険の国庫負担は、高齢者・一般の計7.3兆円であり、このほか地方の負担が2.9兆円あるので、公費負担としては合計10.2兆円である。
  • 基礎年金の全額税方式が議論の俎上に載り始めたが、同じ社会保障として、医療、介護も同じ土俵に上げ、税(保障)か保険かを検討すべきである。
  • 新たな財源、新たな負担の検討にあたっては、現行制度下での保険料のあり方の見直し、すなわち事業主負担の見直しや、保険料率の公平化なども合わせて検討したい。

ダウンロード  (約 416 KB)