ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 163 2008-06-16

国家財政の分析(3) ー独立行政法人の財務分析ー

 

  • 独立行政法人(104法人)には、国から3.4兆円の財政支援(2006年度キャッシュ・フローベース)がなされている。
  • 2005年度は、年金資金運用基金に対して、保養所などの資産整理のため1.1兆円の財政支援が行われたという特殊事情があるが、これを除くと、2005年度3.4兆円、2006年度3.4兆円とまったく減っていない。
  • 104法人中18法人では、経常収益に占める運営費交付金の割合が90%以上である。本来、国自体が責任をもって行うべき業務であるにもかかわらず、天下りの受け皿として設置されたのではないかとも思える。
  • 国は独立行政法人に対し17.7兆円(2006年度末残高)の出資も行っている。独立行政法人104法人中54法人では、損失が累積するなどし、出資金が目減りしている。目減りした出資金の総額は1.6兆円である。独立行政法人の経営が好転しない限り、国はさらに財政支援を行うことになる。実際これらの法人には、運営費交付金1.7兆円中1.3兆円が投入されている。
  • 15法人は、財投債、特別会計積立金等を原資とする財政投融資も受けている。しかし14法人は自力で返済できず、さらにこのうち12法人は国からの財政支援があっても、新たな借入れをしなければ返済できない。そのため国がさらなる財政支援を行うという悪循環になっている。
  • 独立行政法人に流れるお金は、元をただせば国の一般会計、特別会計である。当然、社会保障費とも無関係ではない。独立行政法人の経営について、厳重な監視が必要である。

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