ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 166 2008-06-26

新医師臨床研修制度と医師偏在化・医師不足に関する調査
ー 新医師臨床研修制度は医師不足を顕在化させたか ー

 

  • 新医師臨床研修制度の導入を主因として、全体の約60%の教室(医局)が医師派遣の中止・休止を実施した。
  • 新医師臨床研修制度が医師派遣の中止・休止の原因となった経路は主に二つあった。一つは、大学病院で後期研修する医師が減少したことにより、人材不足になったためである。もう一つは、大学病院で初期研修する医師が減少したことにより、人材不足になったためである。
  • 医師派遣の中止・休止があった派遣先の関連医療機関では、60%強の医療機関で、診療制限あるいは診療科閉鎖という影響が出ていた。大学医学部教室からの医師派遣の中止・休止を受けると、他からの医師調達は難しい状況を反映している。根本的に医師不足がその原因であると考えられる。また、このことは、大学医学部の医師派遣機能が組織的な人的資源の配分システムとして優れていることを示している。
  • 診療科目別では、医師派遣の中止・休止があった医療機関数の割合が大きかったのは、産婦人科と内科であった。
  • 人口当たり一般病院(大学病院以外の病院)従事医師数が最も小さい9都道府県のグループで、新医師臨床研修制度の導入前後における派遣医師数の純減少数が最大となった。もともと一般病院従事医師が手薄なところで、派遣医師数が大きく減少したことになり、地域間格差が広がっていると考えられる。

ダウンロード  (約 949 KB)