ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 167 2008-07-02

医師数の統計分析 ー 医師不足はどこで起きているか ー

 

  • マクロ分析によると、医療施設従事医師の絶対数でも人口当たりの数値でも増加傾向となっているが、65歳以上人口当たりの数値では減少傾向が見られ る。高齢化の進行に追い付くほど医師数は増加していないということである。
  • 診療科目別の分析によると、外科、産婦人科においてのみ、大きな減少傾向を示している。内科では、直近2年間で顕著な減少が見られる。
  • 診療所の勤務医師数(診療所従事医師数から開設者・法人代表者を除いた数)については、十分な大きさの増加傾向が読み取れる。診療所の勤務医師に ついてのみ、外科・産婦人科でも医師が比較的十分に確保できるとすれば、診療所の勤務医師並みの待遇・勤務環境あるいは診療報酬の在り方を病院勤務医 師についても確保するようにしていくのが正しい政策であろう。
  • 都道府県別の分析によると、特に医師数の伸びが高齢化に追い付いていない地域は、地方というよりもむしろ都市部である。地方の問題が大きいという 認識は一般的であるが、都市部でも医師不足問題があると推察できる。医師不足は医師偏在ではなく、全国的な「不足」の問題として捉えるべきだろう。
  • 外科と産婦人科では、一部を除いて、全国的に減少傾向が観察される。他方、内科では都道府県によって医師数が増加しているところと減少していると ころが混在し、都道府県間の格差が広がっているように見える。外科と産婦人科では、全国的に深刻な医師不足問題が出てくる可能性が高い(すでに出てい る)。他方、内科では、今後、局所的に医師不足が出てくる可能性がある。

ダウンロード  (約 755 KB)