ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 169 2008-09-10

医薬品卸業のM&A効果の検証 -2003年度から2006年度の決算分析から-

 

  • M&A等による企業再編の効果を検証することを目的に、医薬品卸大手4社を対象に、2003年度〜2006年度(4期分)の決算分析を行った。
  • M&A等の企業再編が進むにつれて、医薬品卸大手4社の企業規模と収益の規模は拡大し、収益性も向上した。
  • M&A等の企業再編が進むにつれて、医薬品卸大手4社は、昨今の医療費抑制・薬剤費抑制の政策下でも、増収・増益を達成しうるだけの体力を備えつつある。2004年度に利益率、安全性、効率性・生産性はいったん落ち込んだが、2005年度以降は上昇に転じ、2006年度には、2003年度水準を上回るまでに改善している。
  • 医薬品卸のM&A戦略が一定の成果を上げつつある一方で、流通の川下の医療機関は厳しい経営状況に追い込まれている。医療機関に、医療費抑制・薬剤費抑制政策の皺寄せが集中しているようだ。
  • 医療費抑制政策の皺寄せは医療機関に集中している。医療機関の薬剤仕入れ担当者は、まずこの現実を直視しなければならない。
  • 昨今、医薬品産業に係る政策においては、新たな薬価制度の創設やドラッグ・ラグの解消、流通の不透明な取引慣行の解消等がトピックとなっている。それらの課題の解決にあたっては、供給者側の論理に偏りすぎず、今日も患者と直接向き合っている医療現場の声に慎重に耳を傾けるべきではないだろうか。

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