ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 168 2008-12-04

私立病院における地球温暖化対策自主行動計画策定に関する研究

 

国家的目標として、地球温暖化防止のため二酸化炭素(CO2)削減が掲げられ、平成17年4月28日に京都議定書目標達成計画が閣議決定された。その計画においては、各業種において、地球温暖化防止のための自主行動計画の策定とその着実な実施が求められている。 一方医療においては、医療費抑制政策により日増しにその経営環境が厳しくなっているとともに、快適な療養環境の整備という特有の課題を抱えているものの、地球温暖化対策も益々その重要性が高まってきている。  本研究はこれらの状況に鑑み、地球環境の向上と、そこに生きる人間の健康維持を目指して、CO2削減の自主行動計画の未策定業種である、私立病院(設置者が国・地方自治体・国立大学法人・独立行政法人等を除く病院)を中心とした、医療分野の自主行動計画策定に寄与することを目的として行ったものである。  自主行動計画素案の策定・提案に際しては、50床以上の私立病院3,389病院を対象として、「私立病院における地球温暖化対策自主行動計画策定のための調査」(アンケート実態調査、回収数973件、回収率28.7%)を行った。  この結果、2006年度のエネルギー起源のCO2排出量について、(1)延べ床面積当りCO2排出原単位の平均は127.1kg- CO2/m2で、2005年度対比で2.7%減少している、(2)病床規模別CO2排出原単位をみると、3万m2以上の病院が149.3〜168.8 kg- CO2/m2であるのに対し、3万m2未満の病院は104.1〜136.5kg- CO2/m2に止まっている、(3)病院数構成比で16.0%の300床以上の病院が、全CO2排出量の44.4% を占める、といったこと等が明らかになった。  そしてこれらのことを基に、自主行動計画の数値目標指標を、エネルギー起源のCO2排出原単位(延床面積当りのCO2排出量、kg- CO2/m2)とし、基準年とする2006年度より2012年度まで年率1.0%削減するとともに、CO2削減のための様々な方策の実行を提案した。

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