ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 179 2008-12-18

2008年4月の診療報酬改定の影響について

 

  • 2008年4月の診療報酬改定率は▲0.82%(医科本体+0.42%)であり、診療所から病院へ約400億円の財源支援も行われた。改定が病院・診療所の収入等に与える影響を粗く試算し、現状と比較・検討した。
  • 医療費の自然増等は3%程度あると言われており、その場合、収入の前年同期比は病院で+2.6%、診療所で+1.3%になると試算される。しかし、実際には、保険診療収入の伸びは、病院では、日医レセプト調査+0.7%、TKCデータ+0.1 %に止まり、診療所では、日医レセプト調査▲1.9%、TKCデータの法人▲3.3%であった。
  • 病院の保険診療収入は前年比プラスではあるものの、増収分は大学病院に集中し、小規模な個人病院は依然として厳しい状況にある。医療法人病院の損益分岐点比率も前年92.6%から今年94.9%に悪化した。
  • 診療所の外来管理加算は、日医レセプト調査から、当初見込みの240億円を大幅に上回る805億円の減収と計算された。
  • 病院では、増収になったが、給与費負担が増加した。診療所は減収であったが、給与費を圧縮できなかった。医師等、医療従事者の確保のためであると推察される。
  • 一部の大規模病院に偏重しない財源配分が必要である。また診療報酬の確保と、医師確保対策の両方を同時並行で進める必要がある。診療所においては予定以上の厳しい改定になっていることから、緊急対策も求められる。

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