ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 188 2009-04-15

「在宅医療の提供と連携に関する実態調査」訪問看護ステーション調査

 

 全国の訪問看護ステーションの管理者を対象に、事業所の運営体制や在宅医療に関する連携の現状と課題等を把握するため、アンケート調査を実施した(有効回答1,098事業所。有効回答率40.8%)。
 24時間対応体制加算については、73.0%の事業所が届出を行い、63.5%で算定を行っていた。24時間対応体制や緊急時に関する加算の届出事業所のうち、74.7%が「看護職員の増加は行わずローテーションによる体制づくりをした」と回答し、看護職員を増員した事業所は1割程度に留まった。主治医との連携については、約8割が良好と感じていたが、連携医療機関別に日常的な連携状況をみると、「訪問診療・往診がある診療所」「在宅療養支援診療所」に比べ、「病院」「訪問診療・往診がない診療所」との連携度は低い傾向がみられた。 提供上の課題については、「利用者の自己負担を抑えるため、訪問看護の提供を制限することがある」(37.2%)、「カンファレンス等の時間が取りにくい」(28.1%)等が挙げられ、地域による課題の違いもみられた。運営上の課題では「看護職員の確保」が約7割で最も多かった。訪問看護ステーションの人材不足は、在宅医療を行う診療所にも少なからず影響している可能性がある。
 今後、将来に渡って必要な人材や体制を確保し、在宅医療に携わる医師や看護師等を中心に地域ケア全体の質の向上に供するための経済的な裏付けはどうあるべきか、医療と介護の両面から引き続き議論されていく必要があるだろう。

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